― 色調補正 ―階調の飽和をおこさないために
デジタルカメラの飽和の特徴
デジタルカメラはハイライト側の階調表現力が弱く、銀塩写真よりも容易に飽和します。飽和の状態もRGB各チャンネルが独立して飽和するため、飽和している所としていない所の境界は階調状態が破綻します。
下は飽和している画像を撮影時の状態で見たのもです。露出オーバーで撮影され、シャツがほとんど飽和(白飛び)しています。RAWデータでは、撮影時の状態では若干の白飛びに見えても、編集時に「露光量」スライダを下げることでハイライト側の階調が出てくる場合があります。
「露光量」を下げ、センサが捉えたハイライト側をヒストグラムの内側に収めてみました。ヒストグラムのハイライト側を見て下さい。緑・青・赤3つの縦線があります。この縦線の部分が飽和している所です。飽和している所が各チャンネルずれているという事は、各チャンネル毎の飽和までの露光量に差が出来ているという事です。
下は飽和部分の拡大写真です。階調とは言えない状態です。
なぜ飽和の境界で階調が破綻するのか?
RGB画像はRGB各チャンネル256階調、256の3乗=約1,670万色が階調を作り出しています。
フィルムの場合では、ハイライトが飽和した場合、飽和していない部分との境目までが滑らかに階調を維持していました。しかしデジタルカメラでは異なります。RGB各画素において、飽和までの許容露光量が微妙に異なるためです。
例えば、RGB3チャンネルの内2チャンネルに飽和した部分があるとします。この場合、その部分は残り1チャンネルで階調を構成している事になります。1つのチャンネルだけで構成できる階調の幅は256階調までです。たった256階調では写真の色の再現に必要な階調を作り出す事は出来ません。
人間の目はシャドウ部よりもハイライト部の方が感受性が高く、たとえ1チャンネルだけでも飽和している画像はすぐに見破ってしまいます。非常に優秀なセンサを備えている人間の目にとって、256階調で作られている飽和部付近は、階調の破綻にしか受け取られません。
できるだけ飽和をおこさないために
飽和をおこさないためには撮影時に適切な露出補正を行うことが重要です。デジタルカメラ後部の液晶画面を使用し、撮影画像のヒストグラムを見て適正露出を得るよう心がけて下さい。